第1章 私達がスターダストです!

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しばらく経った頃だろうか、フワッと甘い香りが体を包み込んだ。背中に当たる柔らかいものが気になってしまう。 ゆっくりと目を開ければ無邪気な笑顔が視界に入った。 クリーム色のボブカットの女の子。毛先がクルッと巻いてあり、前髪も眉毛よりもだいぶと短い位置で切られてしまっている。まるで前髪を自分で切ろうとして失敗したかのようだ。 クリクリのエメラルドの瞳だけれど目尻が垂れているおかげで全体的に柔らかい雰囲気になっている。 小柄で見た目は中…いや、小学生。だけどその胸の存在感は大きく、確実に私よりも大きなその胸を揺らしながら私の隣にちょこんと座った。 『教室に行っても居なかったから此処かなって思ったんだぁ~』 『何か用事だった?』 『ううん、スーちゃんに会いたくなっただけぇ~』 暑い夏にギュッと抱きついてくることは普通なら嫌だろう。だけどこの子、嶋田(しまだ) 杏樹(アンジュ)になら抱きしめられても許してしまう。 だってこんなにも私の心を癒してくれるから。 可愛いことを言ってスリスリと頬ずりをしてくる杏樹に私も強く抱きしめると頬ずりをして。 杏樹は私の1つ年下で高校2年性の17歳。スターダストのメンバーで、担当はドラムだ。こんなにフワフワしている割に演奏が始まると最高のパフォーマンスを見せてくれる可愛くてかっこ良い仲間だ。
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