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『スーちゃん聞いたよぉ~。映画デビュー!お姫様役なんだってねー!おめでとぉ~。キスシーンとかあるのぉ?チュッて、チュチュチューッてぇ~』
『え、キスシーン!?えっと…い、一応あるけど…』
『ええっ!?鈴音キスすんの!?マジ?うわー、鈴音のファーストキス全国放送じゃん!』
『ちょっ、いつから居たのよ!?』
渡された台本にはキスシーンはあった。だけどそれを改めて聞かれると恥ずかしい。
やっぱり思春期だし、ファーストキスだし。
突然2人の間からヒョッコリと顔を出した人物に驚いて杏樹かは離れてしまった。
人のファーストキスを的確に当ててしまった彼は私と同い年の18歳、柳生 智希。チームのリーダーであり、そしてボーカルを担当している。
いつも元気いっぱいの智希だが、その無邪気で人懐っこいルックスから人気も高く、ファッション誌でも表紙を飾るほどだ。
相変わらず性格と同じで明るい赤の髪を適当に流し、髪色と同じで赤い瞳は輝いている。まるで未来に絶望などないとでも言っているかのような輝きだ。
『鈴音と杏樹で百合してんのー!?』
『ゆりぃ?…なにそれぇ~』
『杏樹は知らなくてもいいことだよ』
この綺麗で天然記念物に認定されるべきであろうピュアすぎる心を持つ杏樹に余計な知識は必要ない。智希に『余計なことを言うな』と視線で訴えた。
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