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僕の一つ下の後輩である「赤実かすみ」という少女は、少々変わった癖を持っている。
「先輩、こんにちはー」
赤実かすみは教室へ入った途端、まるでタバコを吸うかの様に、胸ポケットから青色のペンを取り出してそれを口に咥える。
これが彼女の変わった癖。
黒いセミロングに可愛らしい顔立ちの少女は、いつも青色のペンを口に咥えている。
それも決まって、黒や赤のペンではなく必ず青のペンを咥えるのだ。
「お疲れ、赤実。今日はちゃんと課題やってきた?」
僕らは文芸部に所属している。
ちなみに部員は5人。
その内1人は幽霊部員で、もう1人は勉強に集中したいからと部活は休み、
更に残りの1人は大抵サボリだ。
なのでこの部活は実質、僕と赤実かすみの2人で活動している様なものであった。
「今日は絵を描いてきました!」
かすみは鞄から一枚のファイルを取り出し、そこからイラストの描かれた用紙を取り出す。
可愛い女の子のイラストであった。
可愛らしいアニメチックなイラストであるが、この絵には一つ特徴がある。
それは、そこだけ色を塗り忘れたかの様に空が真っ白である事だ。
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