1章 14歳のゲームデザイナーたち

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まあ、竹千代君や佐平次君は置いておくとして、 コンピューター部員は人工知能とおしゃべりをすることが日課となっている。 人工知能は放っておくとデータが古くなってしまい、会話が噛み合わなくなってしまうためだ。 僕はその後もマスコットと会話をして、ジータの曲も聞いてみた。 『相変わらずパンクロックだね…』 【なるほど。こういう曲調がぱんく…なのですね】 おや、マスコットが僕の後ろに視線を向けたぞ。僕も振り返ると結奈が立っていた。 「ねえ、優斗君…お願いがあるんだけど…」 何だろう。もっと強い敵を出せというお願いだろうか。 面倒くさいが結奈を放っておくと、またBLネタで制御不能になってしまう恐れもある。 『…なんだ?』 「これって、ストーリーを書けばゲームを作れないかな?」 結論から言えば可能だ。だけど、ゲーム作りはストーリーだけ書けば終わりという訳ではない。 大まかなマップ作りに始まり、村や町の作成に、ダンジョンの仕掛けに、ストーリーを進めるうえでのイベントや演出、本格的なものを作りたければ、登場人物の絵や専用の曲なんかも必要になる。 『そう思うのならストーリーを書いてみなよ。 あのソフトには基本的な絵とか曲なら入っているから、それを使えばある程度の作品なら表現できると思うよ』 結奈は「わかった」と言って頷くと、自分の席に戻ってストーリーを組み立て始めた。 まあ、たいていの場合、ストーリーを作りきれずに挫折してしまう人が多いみたいだけど…。 結奈がストーリーを持ってきたのは、それから3週間後のことだ。
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