1章 14歳のゲームデザイナーたち

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早速、図書室に向かってみると、世界史関連の棚を見てみた。 今回欲しいのは写真やイラストのついた資料だ。 神殿やギリシャの神々の姿といった、ギリシャを代表する資料はすぐに見つかったが、一般庶民の生活となると意外と見つからない。 ふと資料を眺めていると、古代ローマの資料もあった。 『時代が少し進んでいるけど…参考にはなるかな?』 資料を少し読み込んでみると、どうやら古代ローマ時代の服装は、ギリシャ時代と似ているらしい。 思った資料が見つからない可能性もあるので、一緒に借りておくのもいいかもしれない。 5冊の本を手に取った時、図書室のドアが開いた。 入って来たのは結奈と見覚えのある女子生徒だ。彼女は確か森 恵美子。漫画研究部の部員だったな。 「長谷川君、結奈から話を聞きました」 恵美子は眼鏡を光らせながら言った。 彼女は背が低いせいで小学生にすら見えるが、振る舞いや話し方が妙に大人びている。 もう少し背が高ければ、学校の先生にすら見えるかもしれない。 『うん、これを借りたらソフトの説明をするよ』 「少し見せてもらってもよろしいでしょうか?」 本を差し出すと、恵美子は1冊ずつ手に取って最初の何ページかを開いた。 5冊全部をざっと見ると、彼女は表情を和らげて頷いた。 「この本、できれば…私が借りたいのですが…」 『構わないよ。というより…絵のために集めるつもりだったから』 そう答えると、恵美子は満足そうに笑った。よくできましたという感じだろうか。 「エミちゃん、さっそく借りてこよう!」 「そうですね」 2人は仲良く並ぶと、図書室の貸し出しコーナーに向けて歩き出した。 それにしても、本当に対照的な2人だ。 結奈の身長は165センチメートルくらい。ショートヘアーで体格もいいが、振る舞いがどこか子供じみていて、先ほどの通り変な妄想癖がある。黙っていれば美人。 恵美子の身長は150センチメートルあるかどうか。ロングヘアーで眼鏡が似合う。知的な雰囲気を漂わせていて、たまに笑うと可愛い。チビは禁句だったな。
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