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マドカと恵太
かつて、推理小説の期待の星として脚光を浴びていた北川恵太は5年近くも新作を書けず、現在では横浜にて既に忘れ去られた小説家として数えられていた。
そんなある日、女友達の紹介によって学生時代から自分のファンであった人妻、飯嶋マドカと出会った恵太は強く心惹かれるようになる。
そして、マドカをホテルに誘い込んだ恵太は人妻である彼女との性行為に及び、肉体関係となる。
その後も、横浜にて恵太との性行為を繰り返すマドカは、今まで夫には感じられなかったほどの激しいエクスタシーを感じるようになる。
さらには、夫が大阪へ単身赴任したため、マドカは恵太宅へ通い始める。次第に感じるエクスタシーが激しさを増していくマドカは、夫との性行為を拒絶するほどまでに恵太の愛撫を求めるようになった末、彼との性行為中に「夫を殺して」と口走ってしまう。恵太はマドカの言葉に戸惑うも、ネットで青酸カリを購入してしまい………ピンポーン!チャイムが鳴った。
ナツミは舌打ちをした。
「いいところだったのに」
モニターを見た。大学の後輩の木原君だった。
《お久しぶりです?近くに来たので寄りました》
鍵を開けた。
「こんばんわ、山梨に行って信玄餅買ってきたんです」
木原君はビニールをナツミに渡した。
「桔梗屋?」
「知ってるんですか?」
「アソコって工場見学出来るよね?」
「そうそう」
「あがれば?」
木原は週刊苦痛の記者、美しい妻・マドカがいながら、多くの女と浮気していた。妻と愛人たちはお互いの存在を知っており、奇妙な友情が芽生えてゆく。あるとき愛人の1人で推理作家の利根川蘭子はマドカを訪ね、木原を殺す計画を話し合う。
ナツミはそれを聞いてこらえきれず木原に打ち明けてしまう。木原に問い詰められた蘭子はあっさり計画を認める。
木原は『オリエント急行殺人事件』みたく、複数の女に囲まれ、新幹線の中で刺し殺される夢を見た。つい最近、太宰治の遺作『グッドバイ』を読んだが自分の状況に重ね合わせた。
木原は愛人関係を清算するため、ナツミに狂言殺人を持ち掛ける。約束の日、ナツミの家に蘭子とマドカが集まる。ナツミは木原が用意したナイフで木原を殺したように見せかける。
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