青すぎる時代

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青すぎる時代

 あー肩が痛い。ずっとパソコンに向かっていたからかな?  チャイムが鳴った。  ヒカルが帰ってきたのかな?お金があんまりないからカメラつきインターホンも買えない。  魚眼レンズに間抜け面のヒカルが映る。  鼻をほじってる。  カギを開けてやった。 「シューカツどう?」 「あんまり手応えはないな」 「それと手を洗ってね?鼻の中にはたっくさんバイキンがいるの」 「見られてたか?」  ヒカルがパソコンを見た。 「このまえのセックスゲームは?」 「内容がダメだって脚下された」 「えー?ユニークでよかったのに。ワロドンかぁ、変な名前だねぇ………へぇ、オチねぇ?オチンチン舐めてよ?」 「帰ってきたばっかだよ?ちゃんと洗ってからにして?」 「前なんか徹夜明けのマンコ舐めてやっただろ?」 「あんときは溜まってたんだ」 「その編集長は偉いんだろうけど?俺的には前の方がよかったと思うよ」 「あーそう?バトルロワイヤル問題とかで出版業界も文科省にビビってんだよ」 「ふんっ、イジメ対策とか他にやることあるだろうに?原作の方が面白かったな?生々しくて、トイレのウンコの描写もリアルだったな?」 「深作映画もナカナカだったよね?柴咲のサイコっぷりは圧巻だよ」 「秋益社に頼るのよしたら?」 「そしたら本に出来ない」 「違う出版社に持ち込むとか?」 「才能ないのは分かってるんだ。どうせ、バトルロワイヤルのパクりだし?」 「嘆くなよ?安田だって言ってたんだ。『プロになりたきゃパクれ』って」  安田ってのはコイツの同級生だ。   『おおっ』って小説はベストセラーになった。 「なんか、したくなってきた」  慣れない手つきで君を抱きしめる。  君のテノヒラに握られた僕の手  水たまりに映るのは君の笑顔  いくつもの夢を抱いていた  青すぎる時代    ゴミバコに溜めたリレキショ  糸もたやすく 踏みにじられた夢  吹き溜まりに座り込む 僕はいつしか  いくつもの夢を捨てていた  青すぎる時代  ガムシャラに生きることしか  僕は知らない  アイツみたく器用になれない  恥さらしと罵られ  それでも歩き続けた  叫び、喚き、吠える  現実と虚像の狭間  青すぎる時代  ワタシは安田くんの書いたポエムを読んでいた。  腹が減ったな?  夕飯でも作ろうかな?  キティちゃんのエプロンをしてキッチンに立つ。    
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