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呪いの人形
僕は草津に住む青年だ。家は国道292号沿いにある。すぐ近くに住む青木ってヤクザ者が奥さんに刺し殺される事件があった。
ヒカルって私立探偵は僕の幼馴染みだ。
『茶房ぐーでらいぜ』ってゆー浴場を改装したカフェでくっちゃべっていた。濃厚なバニラアイスの上に特製の抹茶をかけたアフォガードは格別だ。
「普段からケンカが絶えなかったらしい。近所に住む巻島ってオッサンが言ってたよ」
ヒカルはホットコーヒーを飲んでいる。
「で?あの話は本当なのか?」
「あっ、ああ…………」
死んだ青木の部屋の天井裏からはケンカしている男女の木彫りの人形が見つかったらしい。
「間違いない、コウショウエンミだな?」
「胡椒?」
「工匠厭魅」
メモ帳にボールペンで書いた。
「中国に古くから伝わる黒魔術だ」
無料の足湯コーナーがある。沸きだしたばかりの温泉がかけ流しにされている。
ホッコリする。
工匠厭魅について知ったのは高校2年生のときだった。僕が思いを寄せている、テニス部の牧田孝枝って女子の家の押し入れから馬が車を引いてる人形が見つかった。あれは文化の日だったと思う。
エッチなことをしようと押入れに入ろうとしていたんだ。それから3日後、孝枝の父親がリストラにあって一家心中してしまったのだ。
あの人形は仕掛けるとその家が貧乏になるように出来ていた。
「つまり、孝枝の場合も青木の場合も仕掛けた人間が存在するってことだな?」
ヒカルが足をタオルで拭きながら言った。
「そうゆうことになるな」
死んだ青木には恵里佳って愛人がいた。
僕は恵里佳に平手打ちを喰らわせた。
「おまえがやったんだろ!?」
「だっ、だって愛していたんだもん」
警察は恵里佳を逮捕しなかった。
人形の呪いで死んだのなら殺人罪にはならない。
恵里佳の家の物置小屋からは全裸の女性の人形が見つかった。この人形が仕掛けられると、その家の女性は浮気性になると伝えられている。
その夜はヒカルと僕の家で呑んだ。
遅かったので泊めてやった。
翌朝、ヒカルがモジモジとやって来た。
「どうしたんだ?」
「パンツ貸してくれないか?」
木嶋のバックには放尿している人形が仕掛けられていた。こりゃあ大変な事件だ!
僕のタンスの中にも放尿人形が仕掛けられていた。人形を焼却炉で燃やすと、隣のマンションの屋上から人が落ちた。
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