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「今夜一晩、ここで俺のフリをしてくれ。」
「貴方は……。」
「グレンに会って話さなければけない事がある。」
団長一人であればギリギリ出立までに街の外れまで行って帰ってこれるだろう。
残念ながらそれほど話す時間はとれないかもしれないが……。
「分かりました。」
「遠征の疲れが出たという事にして、誰もここに近付かない様にする。
お前はとにかく俺の代わりに布団をかぶっていてくれればいい。」
これからほぼ丸一日団長のが居ないと言う事実を隠し通さねばならない。
ただ、丸くなって時間が過ぎ去るのを待った。
だから、その夜、団長とグレンさんの間に何が有ったのか俺は知らない。
ただ翌朝、太陽の昇りきる前に帰ってきた団長は晴々とした表情をしていた。
元々頼もしく思っていたし、恰好良いとも思っていたがそれでもまるで別人の様だと思った。
戻ってきた団長は一言
「今まで、あの人を支えてくれて、ありがとう。」
と言った。
俺は、ただそれだけで、ああよかったと思ったのだ。
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