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流星雨
星を見にいきませんか?
そう言われたのは、星見様が流星群の到来を予言してから数日後のことだった。
街はもはやお祭り騒ぎで、シャーリーも楽しみにしている。
だから、異論は無かった。
現在、事実上帝都の警備も担っているアルフレートらしくないなんて、頭の片隅には疑問はあったが、俺が聞くべき内容ではないだろう。
「郊外に、没落した貴族が所有していた別宅を買ったんですよ。」
そう言ったアルフレートはメイドにいくつかの指示を出して出かける支度を進めていた。
◆
「わあ、素敵!」
シャーリーが歓声を上げる。
別宅は山の上の高台にあって、貴族らしからぬ、そこまで絢爛なものではないごく質素な建物だった。
荷ほどきはメイドに任せ、家族でゆっくりと過ごす。
こんな風にゆったりと家族3人で過ごすこと自体まれだった。
かなり急な出立でここについたのは夕方だった。
まもなく、日が落ちて星が一つ、また一つと見え始める。
街の灯りが無い為だろう。星が普段より多く見える。
昔、遠征に出た時、野営地で見上げた星を思い出す。
「ねえ、お父さま見ました!わあ、また!」
空を指差しながらシャーリーははしゃいでいる。
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