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そう返すとアルフレートは再び視線を空に移した。
手は握られたままだった。
「……そういえば、今日のこれは何なんだ?囮か何かなのか?」
シャーリーを万が一にも危険にさらす様なことをこいつがするはずが無いとわかってはいるが念のため確認する。
言えないことならアルフレートも言わないだろうし、これ以上追及するつもりは無かった。
「逆ですね。俺がいない日を狙って決行されるであろう事件の日付を調整したってところです。」
既に部外者の俺に言えないことも多いだろうに、アルフレートは一部だけ事情を話してくれた。
「へえ、それじゃあ、騎士団には感謝だな。」
こんな風に、二人で、想いあって並んで、そんな事をした事は今まで無かった。
戦場で背中を預けたことも、酒場で二人で酒を飲んだこともあったけれど、まるで恋人みたいに、こんな時間をすごす事は無かった。
だから、もう少しだけ……。
二人で空を見上げた。
握られたアルフレートの手が暖かくて、離してしまいたく無かった。
了
お題:グレンとアルフレートの甘々なお話
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