805人が本棚に入れています
本棚に追加
通常であれば伯位以上でしかなる事の出来ない騎士団長に王の勅命で就任した。
グレンさんより2歳ほど年下の甘いマスクとそれに反する強さを持った男だ。
グレンさんは赤子の父親はこの事実を知らないと言っていた。
戦いの神に愛されたあの人は、今は遠い国境付近で戦っているのだろう。
帝都の様子等きっとあの人は気にしない。
戦いの最中はそれ以外の事はまるで抜け落ちた様になってしまっていたのを俺も知っている。
だからって、これは無いだろう。
「団長が貴族だからですか?」
それを、グレンさんに言ったのか副長に言ったのかは自分自身でも分からなかった。
「この子は俺だけの子だよ。」
グレンさんは答えにならない答えを返した。
「言って無いって、何でだよ。
なんであの人に一緒に背負わせてやらないんだよ!?」
掴みかかる様に叫ぶと、副長に引きはがされた。
「ん?アレはもう恐ろしく色んなモンを背負ってるよ。」
そもそも、俺と寝た事自体覚えてるか怪しいもんだ。そう付け加えると力なく笑った。
その表情は一人で背負う覚悟なのか、それとも諦めなのかは俺には分からなかった。
帰り道、副長からもう少し見守ってあげてはくれませんかと言われた。
副長は定期的に団長に手紙を送っているらしい。
最初のコメントを投稿しよう!