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◆◆◆◆
遠征部隊の帰還が適ったのは出発から実に3年の月日がたった後だった。
小さな小競り合いだと知らされていた戦闘は泥沼化し、沈静するのにそれだけの時間がかかってしまったのだ。
それだけ時間はかかってしまったが国は守られた。
その知らせに帝都は大いに沸いた。
帰還する部隊が帝都近くまで戻ってきているとのことで、出迎えを帝都待機組の騎士たちが任されたのだ。
戦闘が行われたのであるから、負傷兵等も居るため凱旋の様に帰ってくる騎士団から、彼らを引き受けて別のルートを使って騎士団の病院に運ぶ等仕事もある。
「騎士団長にお目通り願いたい。」
副長からの書状を持って野営地に向かった。
帝都からおおよそ1日という距離に、彼らは幕営していた。
団長が一人でいるであろうそこへ半ば強引に押し入った。
後で何らかの罰を受けるかも知れない。
それは俺も副長も考えたが、恐らく貴族のしがらみという横やりの入らないチャンスは帝都に入る前にしか無いと思った。
訝しげにこちらを見る団長は相変わらず美丈夫というのにふさわしい姿をしていた。
金色の目がこちらを見る。
「許可したつもりは無かったが。」
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