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こうやって、次々に流れる星を見るのは俺も初めてだった。
高台の野原に敷いた敷物に座って親子三人星空を見上げる。
死ぬかもしれない戦場で、見上げたあの星空とはまるで違って見えた。
アルフレートがたき火で入れたお茶を差し出す。
こういったところも、戦場と同じで懐かしさに目を細めながら受け取った。
「わたくしも飲みます!」
空を見上げていたシャーリーにもお茶を渡すと息をふうふうと吹きかけながら口をつける。
南の空でまた一つ星が流れた。
「お父さま達とみられて良かったです。」
シャーリーは俺とそれからアルフレートを見てはにかんだように笑った。
◆
うつらうつらし始めたシャーリーを毛布でくるんでアルフレートが抱っこをする。
片腕で悠々と抱き上げるアルフレートをみて、鍛錬を増やそうと思う。
そろそろ屋敷へ戻るかと思っていると、アルフレートがシャーリーを抱っこしていない方の手で、俺の手をそっと握った。
丁度敷物に投げだす恰好となっていた俺の手の上からアルフレートの手が握りしめる。
「もうちょっとこのままでもいいですか?」
アルフレートを見ると照れたように笑っていた。
外はまだ暖かい、それに今日はいつもとは違う流星群の夜だ。
「まあ、そうだな。」
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