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2章 繭から生まれた……
格子窓を閉めると、空穏も患者の側に寄り添って眠った。もっとも猫の額のような室内だ、どこに寝ようと隣り合わせなわけだが。
それでも翌朝は甲高い女の悲鳴から始まった。
恐怖と猜疑とないまぜになった患者の目が毛虫でも追い払うように『しっしっ』と言っている。
「違ういろいろと誤解だ」
泡を食う主人を退屈しのぎの肴にして、塩竈が蹄を打ち鳴らす。
ついには患者が部屋の隅の劣化した衝立の陰に隠れ込むから困り果て、水を入れた鉢を差し入れてやりつつ、
「こほん」
と咳払いして居住まいを正す。
「落ち着いて、まあ聞きなさい」
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