2章 繭から生まれた……

6/20
前へ
/181ページ
次へ
「腹の痣の方はどうだ。光っていたが痛みは無いのか」 気をつけながら今ひとつ問うてみると、 「ひかる?」 繭はきょとんと首をかしげたが、はたと背を向け体を丸めるや忙しなく手を動かした。やがて肩がびくりと跳ねて首だけがおずおずとこちらを向く。 「どうだ、まだ光るか」 ずいと黒衣の膝を寄せると、 「ひ、光っては、いませんけれど……」 「けれどどうした」 「けど、けれどっ、なんであなた、あたしのこんなところに痣があるって、知ってるんですっ!?」 「えっ」 と言った後ですぐ「あっ」と思ったが後の祭りである。
/181ページ

最初のコメントを投稿しよう!

316人が本棚に入れています
本棚に追加