2章 繭から生まれた……

11/20
前へ
/181ページ
次へ
さてその日の治療がすべて終われば、晩飯の後に繭の治療を施してやるのが日課である。昼に余った青菜を取り分けて飯の準備をしていると、 「空穏様は、食べぬのですか」 自分にだけ山と盛られたひえ粥を前に、繭が伏し目がちに問う。 七日七晩の世話を焼いた甲斐あって、何とか短い会話くらいは交わせるようになった。 「私ら坊主は陽の高いうちにしか飯を食わん。いいから気にせず、子供はたくさん食べなさい」 「こども……」 繭は正座した足をそわそわとさせながら、どこか不服そうに眉をしかめた。それを空穏は、よほど自分に遠慮しているものと受け取った。 塩竈を指差し、 「そらあやつを見よ。なぁーんの遠慮ものうて、ガツガツガツガツ食いよって。なにもああなれとまでは言わんが、お前は食が細すぎる。食う回数を増やしてでも、食べなさい。それが子供の仕事というものだ」
/181ページ

最初のコメントを投稿しよう!

316人が本棚に入れています
本棚に追加