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さてその日の治療がすべて終われば、晩飯の後に繭の治療を施してやるのが日課である。昼に余った青菜を取り分けて飯の準備をしていると、
「空穏様は、食べぬのですか」
自分にだけ山と盛られたひえ粥を前に、繭が伏し目がちに問う。
七日七晩の世話を焼いた甲斐あって、何とか短い会話くらいは交わせるようになった。
「私ら坊主は陽の高いうちにしか飯を食わん。いいから気にせず、子供はたくさん食べなさい」
「こども……」
繭は正座した足をそわそわとさせながら、どこか不服そうに眉をしかめた。それを空穏は、よほど自分に遠慮しているものと受け取った。
塩竈を指差し、
「そらあやつを見よ。なぁーんの遠慮ものうて、ガツガツガツガツ食いよって。なにもああなれとまでは言わんが、お前は食が細すぎる。食う回数を増やしてでも、食べなさい。それが子供の仕事というものだ」
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