2章 繭から生まれた……

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先人らしく諭すと、箸でつまんだ青菜を桜色の唇に近づけてやった。繭は困ったように赤くなり、そ、と口をあけて食んだ。まるで雛鳥のような仕草である。 (可愛いものだな) 空穏は頬が緩むに任せてくすりと笑んだ。すると繭はますます赤くなり、けほんとひとつむせって、 「自分で食べられます……」 小さな小さな抵抗をした。 翌日には今度は、何か手伝いをさせて欲しいと自ら願い出る。その発心は尊いものだから、では治療の後に患者へ水を一杯勧めるようにといいつけてみる。 「できそうか」 案ずれば「はい」と嬉しそうに輝かせる瞳を見るにつけ、なるほど悪人には見えぬ、塩竈の言う通りであったなと、心中で繭に詫びた。
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