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「比丘尼さま!」
嫗の柔和な顔を見るや、その懐に抱かれた繭が母を得た子供のようにしゃくりあげる。
「まあまあ、どうしたの。泣いていては分からないわ……」
比丘尼もまた、誠の母のように繭の背をさする。
比丘尼にはこれまでの経緯をみな話してある。差し入れに訪れるたびに繭自身との親交も深めている。
泣き続ける繭の代わりに空穏が一部始終の説明をすると、比丘尼は心配そうに眉をひそめ、
「かわいそうに、辛かったわねーー。では、髪をもう少しだけ短くしましょう。それから、これをお被りなさい」
繭の頭を撫でつつ、自身の白い頭巾を脱いだ。青く潔い尼僧の頭が露わになる。
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