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「ええ。つまり、死後に悪さを出来ぬようにと与えられたものーーかしら?」
「しかし……」
「そう確かにこの子の蓮華は、焼きごてでつけられたように私には見えました。けれど、罪人でもないでしょうにねぇ……」
皺の目立ち始めた指先が繭の額にかかる前髪をそ、と払う。少女の薄い瞼がわずかに動いた。
「罪人の他にも印をつけられる例はあるのでしょうか」
空穏が話に踏み込むと、比丘尼はふいに押し黙った。
「比丘尼どの」
たたみかけると、一度つぐんだ唇がためらいがちにまた息を吸う。
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