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「己のやりたいように……?」
おうむ返しに唱えた繭は、何かを決意したように胸の前で手を握った。
「その、空穏さま」
「なんだ」
「あのう、あたし、たったいま自分の歳を思い出したんです」
「ほう、いくつなんだ」
さして興味もなく鉢に入れた鉄漿水に櫛をつけると、
「ーーはっは、はたちです!」
やおら大声があがったので、空穏が鉄漿水をこぼして塩竈が鼻ちょうちんを破った。
(絶対に嘘だ)
と分かるのだが、言い切った繭の妙な気迫に押されて口には出せない二人であった。
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