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「あたしゃ本気だよ! 先生さえ良けりゃここで何したっていいんだよ。だって……」
ちらと部屋を見渡す女の視線が塩竈の前でぴたりと止まる。
「牛しか見てないし」
ふふっと舌舐めずりして胸に伏せられて全身がゾッと粟立ったとき、鉄壁の衝立が自ら動いて繭が転がり出てきた。
「あああ、あのっ!」
「おや何だいこのお嬢ちゃん。そんなとこに隠れて、覗き見だなんて趣味の悪い」
「あっ、あたしは覗き見なんて……! あなたこそ、くおんさ、先生がお困りですから、おやめください」
「何だって? もういっぺん言ってみなこのガキ。先生はこれからあたしとーー」
しめた、空穏は女の肩を押し戻し、返す掌で繭を抱き上げた。ヒッと少女の悲鳴があがる。
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