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「あいすみませんがこれこの通り、私にはもう心に決めた娘がおりますゆえ」
「な」
「お引き取り願えますか」
にっこり笑って見おろすと、女はカァッと額まで染め、
「なんだい馬鹿にしてっ!」
だんだんと床を踏み鳴らすと土間に飛びおり外に飛び出し、ピシャリと戸を閉めた。
空穏は女よりもっと赤い顔をした繭を床に降ろすと、期待に輝く金色の瞳に、
「いやあ、お前のおかげで助かった! これであの人は二度と来るまい」
良かった良かった、ああ助かったとかんらから腹を抱えるものだから、繭が茫然と涙まで固めた。
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