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だが痛みが無いのなら、水以外にも何か食わせてから休ませるかと思い直して、あれもこれもと用意するうち結局は一揃えの朝餉になってしまった。
「食べられそうか?」
梅干しを一粒入れたひえ粥と青菜を床に置いてやると、ちょんと頭を下げた繭は鉢を取って口もとに近づけた。
が、突然うっと呻いて鉢を戻す。零れたひえ粥が床を汚した。
「どうした、腹からくる風邪でも引いたか」
「いえ、その、食べ物の匂いを嗅いだら何だか急に胸がむかむかとして。ああでも何か酸っぱい物が食べたい。えっと、梅干し。梅干しだけください、山ほど」
「……」
空穏とて、旅するなかで様々な状況の女を診てきた。その経験からかんがみれば繭の症状に思うところはある。
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