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山路を抜け麓に近づくと、斜面に沿った細道が見えてくる。あちこち木の根が飛び出して足をすくわれるそのへそ曲がり糞道ぶりに腹が立ちだした頃、ぽっと開けた土地が広がり、奥にこじんまりとした古寺が現れる。
とまれ、ここが空穏法師と畜生塩竈の借宅である。
反り返った板葺き屋根にはひと抱えほどの河原石を載せているが、雨漏りのたびに数を増やしても、いつも根本的解決にはならない。
その屋根の下、建てつけの悪くなった木戸を苦労して開けるとむっとした熱気がふたりを迎える。
内部は煮炊きする土間と、土間からひと続きの小上がりがあるだけだ。
板間の壁はところどころ朽ちて裂け目がある。先日など起床した二人の目の前に蛇が入り込んでとぐろを巻いていたものだから、塩竈が気絶して空穏が錫杖を割った。
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