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だったら、一番悪いのは誰だ。
遺族から懸賞金を貰い、十中八九の確率で警察に仙道曹也の犯行を密告し、俺を罠に嵌めて陥れ、自分だけが良い人になろうとほくそえむ山崎か。
少女を犯して殺し、挙げ句五百万円の横取りと海外逃亡を企む仙道か。
それとも、悪いのは俺なのか。
あるいは。
やはり一番悪いのは、ヤクザを脅した女子高生なのか。結局は因果応報なのか。
俺は知らない。
一番悪いのが誰なのか、俺は知らない。興味もない。
確かなのは、今から俺がスナック「ミズキ」のドアを蹴破ることだ。俺は仙道曹也を殺す。それから山崎を拷問にかける。山崎を泣きわめかせ、五百万を吐き出させる。俺を罠にハメた過ちを後悔させてから、鉛弾をぶち込んでやる。
俺は殺られはしない。
五百万円は、俺のものだ。
俺は少女の死体を捨てた。
だが、俺が本当に捨てたのは、少女の死体じゃなかった。俺が捨てたのは、昨日までの自分自身だった。
終わりのない暗闇はつづく。いつまでも。何処までも。
了
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