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真っ白な艶のない鎧と呼ぶには余りにも重く人が己の力では動かせない程の重装備。それを地面を揺らし一歩また一歩と魔導重装甲歩兵隊は進軍し魔物を追い詰め殺していった。
歩兵隊の数は7人。とある国の魔導士達が叡智を注ぎ作り出し、人が入り魔力の力で動かすそれを魔導重装甲と呼んだ。
真っ白な装甲の上には幾重にも魔方陣が描かれ、多種に及ぶ属性の力を無効化し、加えられた物理攻撃を反射する機能を持つ魔法まで施してあった。難点はその動きの遅さだけであり、内部の人間には全く外部からの影響を受けなかった。
即ち、それは黒竜を模して人間が作り出した、対黒竜兵器と呼んでも過言ではない代物となっていた。
そして、魔物の巣を進軍していた歩兵隊の1人が魔物を倒すと、そこで耳なりに似た不協和音がこだまする。それを聞くなり歩兵達はゆっくりではあるが、4人と3人の横2列になり、歪む空間へと重装甲の倍の長さはあるであろう槍を構えた。
光の輪から黒竜が出現し、歩兵達の前列4人が動き出す。
鳴き声を上げて威嚇する黒竜はなぎ払うように火炎を吐き出すが、歩兵4人はそれをそよ風の如く気にも留めず進み続ける。そして、槍が届く距離となると同時に4人はそれを突き出し黒竜へと攻撃した。
早さの無い攻撃は無意味とばかりに黒竜は翼を羽ばたかせ背後へ下がりつつ次は樹木の息を吐く。蔓の様な植物が歩兵達へと近付くと、彼等を拘束するように巻き付いていくが、淡く光る装甲がその蔓を瞬時に枯らし歩兵達は止まること無く槍を何度も突き出した。
その光景に黒竜も嫌気が差したのか、続いて稲妻がを吐き牽制するも、それも効かないとわかると同時に、素早く1人の歩兵へと噛みついた。
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