精霊召喚士

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   静まり返り草原に心地のい風が吹き抜ける。  精霊達は透明な石の姿となり封印された黒竜を見つめ、精霊召喚士は胸を撫で下ろし息を吐いた。  そして、そのまま黒竜を放置しておいては危険と判断したノームが地面を揺らし岩を隆起させ厚い岩の壁が黒竜の四方を囲む。そして、シルフが翼を羽ばたかせ天井のない岩の壁を真上から覗き込んだ途端、けたたましく鳴き声を上げた。  シルフの鳴き声に警戒した残りの3体の精霊と精霊召喚士は、その鳴き声を出したシルフを見る。その時、ノームが作り出した岩の壁を突き抜けて細い閃光が精霊召喚士へと向かって発射される。  彼女へ体をぶつけ守ったウンディーネだったが、閃光はウンディーネに当たりその光は触れると同時に爆発し、ウンディーネの体は木っ端微塵となって消え去った。  崩れる岩の壁の間から、黄金の眼が怪しく光り、サラマンダーとノームは精霊召喚士の前に立ち塞がり壁となり、空からシルフが舞い降りてきた。  封印の失敗と、ウンディーネの消失により、再び黒竜を結晶化することが困難となった状態で、遂に黒竜が咆哮と共に戦いの狼煙を上げる。  先手を出したのはサラマンダー。口を開くと火炎の弾丸を吐き出し黒竜に射つが、翼を盾に黒竜は難なくそれを防ぐとお返しとばかりに炎を吐いた。  火の精霊に炎の息では意味がないと思われたが、その息はサラマンダーが扱える炎の力を越えており、サラマンダーは炎によって焼き消されてしまう。  
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