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膝に手を付き息をする旅人。足元には無数の魔物が動きを止めて転がっている。彼の前に倒れる魔物には剣が突き刺さり、ようやく息を整えた旅人が一息に剣を抜き取った。
額には汗をかき、拭えば魔物の血の汚れが腕から額に移り顔は黒くなる。それを気にする間もなく耳なりの様な音と共に無数の魔物が消え去り、旅人の目の前の空間が歪む。
歪みは光の輪を形作りそれが徐々に大きくなるとそこから黒く艶のある爪が現れる。旅人はそれを見るなり後退りするも、剣を構え息を吐きその現れる黒竜の全身を睨むように見つめた。
巨大な黒竜が全貌を現し空間の歪みが消えると、黒竜は翼を広げ大気を震わせ鳴き声を上げる。
口を閉じ空へ向けられた顔を旅人へと向けた黒竜。唸り剥き出しとなる牙から溢れ出る息は熱気を帯びていた。
意を決し走り出した旅人は黒竜へと剣を向け、頭上にある首元へ高く跳んだ。しかし軽く翼を羽ばたかせ後ろへ体を引き交わした黒竜は、次の瞬間には首をしならせ開いた口で宙を舞っていた旅人の腹にその鋭い牙で噛みつきえぐり取る。
血しぶきを上げて地に伏した旅人は声も出せずのたうち回るがそれも直ぐに止まり、活動を止めたその死骸に黒竜は赤く高温の息を吹き掛け塵にした。
翼を広げ雄叫びを上げた黒竜の周りに光の輪が現れる。そして、黒竜はその輪をくぐり空間の歪みと共にその場から消え去った。
魔物を千体倒すと現れる黒竜は、この世界に生きる者全ての者に挑戦権を与えられている。
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