精霊召喚士

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   炎を吐ききり動き出した黒竜の前にノームが力を使って再び岩の壁が隆起させるが、黒竜は翼を広げて高く舞い上がるとそれを越えて眼下に精霊と精霊召喚士を睨み付けた。その時、シルフが真空を含む突風を翼で生み出し黒竜を捉え、宙に浮いていた黒竜の体が切り刻まれる。しかし、数枚黒い鱗が飛んだだけで、黒竜の体はそれを直ぐ様再生させ元の姿に戻る。  翼を一度羽ばたかせると瞬時に飛んでいたシルフの目の前にやって来た黒竜は、首をしならせ鋭い牙を立てシルフの頭部から胸辺りまで一噛みで食いちぎり消滅させた。  残ったノームは精霊召喚士を守ろうと土の柱を隆起させ宙に浮かんだ黒竜へ何本もそれを飛ばす。しかし、黒竜はそれを尾で払うと急降下し四肢を地面に付けるなりノームを前に口を広げ威嚇する。それに物怖じせずノームは頑丈な体を武器に黒竜へ体当たりするが、黒竜は岩以上に硬いノームの体に爪を当てると無造作に引き裂き、ノームは体を崩しながら消え去っていった。  残るは精霊召喚士。黒竜は唸り声をあげながら彼女へ近付くと、彼女は胸の前で手を組み祈るような仕草をしていた。その仕草はウンディーネが彼女を守り消え去った時からずっとそうしていた姿だった。  何もせずただじっとしている精霊召喚士に、黒竜は躊躇無く牙を向けて攻撃を開始する。その時、目を閉じていた精霊召喚士の目が開かれ、それと同時に何もない空間から鎖が現れそれが黒竜へとひとりでに巻き付いていった。  
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