2.灰色の瞳

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2.灰色の瞳

「今日の蝶は何色だと思う?」 「え」 「ぼくは青色だと思うんだ。今日こそね。」 このギムナジウムには先生が1人と数十人の男子学生が過ごしている。その中で一際目を引く人物が一人いる。それがこのアベルだ。何を考えてるか全くわからない、いつも感情が読めない目をしている。 アベルはこちらの返事も求めずに先生の話を聞き始めた。 アベルに友達はいない、それどころか誰も近寄らない。近寄れない。美しい容姿と鈴の音のような声、それでいてどこか他人とは違う空気を纏っている。いつも灰色の瞳で遠くを見据えていた。
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