0人が本棚に入れています
本棚に追加
3.青い蝶
放課後、僕はいつも通り数人の友達たちと談笑をしていた。すると遠くから人が駆けてきた。
「きみ!!はやくしないと全部死んじゃうよ!」
「は!?」
有無を言わさずアベルが僕の手を引っ張る。
「おい何なんだよ!どこに行くんだよ!」
「どこに?決まってるじゃないか、ぼくの大切なお城だよ!はやく!!」
足が縺れないように必死で走っているとアベルの足が止まった。その瞬間に明らかに空気が変わった。
「なに、ここ…」
そこには小さな温室のような建物があった。
「入って。」
建物に入ると様々な植物が育っていた。そして宙を舞う無数の蝶がいた。
「ついに今日、青色の蝶が産まれたんだ。きみに言ったでしょ?青色だと思うって。見て。綺麗でしょ?」
それはたしかに綺麗だった。綺麗だったけどどこか無機質な感じだった。
「あ、触っちゃダメだよ。ぼく以外が触れるとその子襲いかかって毒針を刺すんだ、危ないから自分から触らないでね。」
「なんで、そんなもの」
「なんで?さぁ、なんでだろうね?」
アベルが微笑んだ、薄くて暗い笑顔だった。
最初のコメントを投稿しよう!