0人が本棚に入れています
本棚に追加
5.Bathe in woes.
その日の放課後、僕はアベルがいる保健室に寄った。アベルはベッドの上でじっと窓の外を眺めていた。風が吹いてアベルのブロンドの髪が靡いた。
「あ、きみか。どうしたの。浮かない顔だね、ぼくならもう元気だよ。大丈夫、ごめんね。」
そういった時の顔が少しだけ少年らしく見えた。
「きみ暇なの?だったら少しだけぼくの話聞いてよ、いいよね?…青い魚が沢山いるでしょ、2つの丸い目でぼくのことをじっと見つめてくるんだ。まさか見えない?お祈りの時間も合唱の時間もずっと見てくるよ。そこら辺でプカプカ浮いてるよ。やっぱり見えないんだ…」
「ごめん。」
「なんできみが謝るの?ぼく以外には見えないからきみが普通だよ。でね、その魚がこう言うんだ、『君が殺したの?』だから『殺してないよ。』って答えるんだ。そしたら『青い目の天使は灰色の目の悪魔に騙されていて、時計の針が0時を回ったことを知らない。』って、いつもこう。おかしいよね!」
笑っていた、無邪気に。
「ごめんね!おわり!お話の相手になってくれてありがとう。ぼくはもう大丈夫だから心配しなくていいよ。」
「そうか、お大事に。」
「うん、またね!」
最初のコメントを投稿しよう!