終.halcyon

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終.halcyon

放課後になり、いつも通りみんな外に出たり読書をしたり自由な時間を過ごし始めた。 するとバタバタと走る音が聞こえてきた。 「アベルが!!!あいつ!屋上の柵の外にいる!」 「「!?」」 「先生には言った!!」 考えるより先に体が動いて走り出していた。 何が良い夢を、だ。悪夢だ、こんなの。 屋上の扉を開けるとアベルが驚いた顔でこちらを見ていた。下を向くとそこには青い瞳の真っ白い猫が、真っ白なはずだった猫が真っ赤な血に染まって息絶えていた。 「綺麗でしょ、天使みたいでしょ。」 「なんでこんなことしたんだ。危ないからはやく柵から戻ってきて。」 「危ない?なにが?ぼく今から飛ぶんだ!やっと羽が自由に動くようになったんだ、みて!」 何も無かった、ほんとうに、アベルには何が見えているんだ。 「また見えないの?残念だなぁ、色々教えてあげたのに、ま、いいよ。きみは普通なんだ、よかったね。今日は天気がすごくいいね、空が真っ青だ、うん、空気もすごく綺麗。…あ、あの蝶ね、青い蝶、周りの蝶を全部殺したあと、死んじゃった、自分の毒で。可哀想だよね。せっかくだから死んだ後のあの子の毒を少しだけもらったんだ。いい香りだったよ、そうだな…ハルジオンみたいな香りだったね。」 「…死ぬつもり?」 「死ぬ?だれが、ぼく?えっ、死なないよ、だから飛ぶんだって言ってるじゃん。せっかくだから君も見ててよ。下にいるぼくのことを嫌いなみんなにも見せてあげようと思って!じゃあね、良い夢を!」 青は彼のことを思い出すから、嫌いだ。
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