1.アベル

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1.アベル

少年は陽の当たる窓際に独り立っていた。 さらさらとした美しいブロンド色の髪の隙間から、大きく開かれた灰色の瞳に真っ青な空が写っているのが見えた。僕は声をかける。 「アベル、授業はじまっちゃうよ。」 「あぁ君か、そうだね。」 瞳にその空色を残したままこちらを見る。 やっぱりこいつは向き合いにくい。どこかもやがかかっているようで本当の顔が見えない。 青空は澄み切っていた。
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