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そう、ヒカリとは隣同士ではあったけど、俺は3丁目でヒカリは4丁目に属していた。そして大型ナイフも家にあったもので、扱い方も何となくわかってしまうのだ。まるで体の奥から湧き上がるように・・・。
母からの手紙には家が代々3丁目の通り魔を継承していること、昔から町の治安を脅かすものを影ながら討ち果していたこと。今回市町村合併の影響で3丁目と4丁目が一つになること、その煽りを受けて殺人鬼と通り魔のどちらかを淘汰することが決められた。つまり殺しあってどちらを残すか白黒はっきりさせると決まったと書いてあったのだ。
「前時代的って言うのか、時代錯誤って言うのか・・・。本当に融通が利かないよね。たかだか合併するだけなのに・・・」
刃先をいじりながら続ける。
「このナイフ、ユキ君とお揃いでしょ。シノブさんの持ってたやつなんだ・・・・。」
「私が殺したんだ。シノブさんを殺したのは私」
俺が一番聞きたくない言葉だった・・。絶望的な可能性であっても母の死と4丁目の殺人鬼は関係ないことを願っていた。凶悪な顔のおっさんが殺人鬼であって欲しかった。
でもどこか頭の片隅でわかっていたよう気がする。母のあの安らぎをも含めてしまったような死に顔を見たときから、奇跡的な可能性であっても犯人は1人しかいないような気がしていたのだ。
「私のお母さんを殺したのはシノブさんだったんだ」
頭が真っ白になる。
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