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ヒカリの一撃は最後にためらったせいか致命傷まではギリギリ届いていないかった。俺の一撃は動脈を貫き確実に致命傷になっている。
「はははっ」
力なく笑い出すヒカリ。
「ヒカリ無理するな」
血は止まらない。
「嬉しかったんだ・・・・。私はユキ君に殺して欲しかった」
「わかったから。しゃべるな」
体を抱えて抱きしめる。
「ダメ。聞いて欲しいの・・・・」
「私がシノブさんから真相を聞いて戦ったとき・・・・。本当は勝てなかったんだ・・・私才能がなかったから・・・追い詰められて最後の一撃のときに・・・シノブさんはためらったんだよ」
「気がついたときには私は刺していたんだ・・・・シノブさんは何度も刺されてたのに何回もゴメンねって言ってた・・・最期の言葉はありがとうだった・・・」
「私は仇をとったはずなのに・・・・・ちっとも嬉しくなかった・・・あの日から私はユキ君に殺してほしくて仕方なかった・・・。この罪にもう耐え切れなかった・・・・」
そうだったのか、ヒカリが積極的に人を殺すことなど考えられなかったから合点はいく。母さんも悩んでいたのか、だから合併が始まるギリギリまで引き伸ばしたのか・・・・。
「お腹刺しちゃってごめんね・・・まさか受けると思わなかったから・・・」
「わかってるよ」
「あのね・・・最期にキスして欲しいの・・・・」
「ほら」
唇を重ねる。視界が歪む。
「えへへ・・・・」
ヒカリの喉から血塊があふれ出す・・・。
「泣かないでね。先に逝くけどユキ君は生きて欲しいから。私の分まで・・・」
涙が止まらない。
「暖かい・・・・ユキ君の腕の中で幸せだな・・・今度生まれ変われたら・・・・・・・・・」
そういい残してヒカリは安らかな顔で息を引き取った。
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