母の死

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   母の葬儀が終わり初めて静か朝を迎えた。身体は重く何も考えたくない。ボーっとハト時計の鳩を見つめていた。  いまだに母の死が信じられない。今にもドアを開けて帰ってきそうな気がしていた。  「ただいまー」  幻聴が見える・・・・・。  母は確かに死んでいた、それは間違いない。4丁目の公園で見つかったときは既に息絶えていたらしい。腹部をめった刺しにされていて悲惨な死に方だったが不思議と顔は乱れていなかった。まるでその死を受け入れたかのような表情だったのが気にかかる。  最近物思いに耽る母。あの日は特に何か変で一日中そわそわしていた。  「ちょっとコンビニ行って来る」  「えっ!もうこんな時間じゃん。別に明日でいいだろう」  「すぐ帰るから大丈夫。4丁目には行かないから」  「でもマズイんじゃ・・・・」  「大丈夫、留守番お願いね。もし帰ってこなかったら・・・・・」  「・・・・・?」  「行って来ます」  これが母との最後の会話になった。あの時無理やりでも行くのを止めておけばよかった。あの時の悲壮な表情は・・・。  母は一体最後に何を見たのだろう。
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