第15話 命の対価

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 魔力による攻撃ならば霊力で防げる。霊力を操る神族が滅びた今、精霊を従える『翼ある主』はジルだけだった。  それ故の油断、それ故に生まれた隙……。 「ぐっ……」  足元から浴びせられた粉が、風の壁に吸い込まれて降りかかる。きらきら光る白い粉は風に踊りながら、ジルとルリアージェを覆った。  直後、ジルの全身は痺れて動けなくなる。粉が触れた場所から力が抜けていった。霊力を中和しながら舞う粉によって、精霊達が大気に解放される。  霊力の塊である精霊を殺せる、分解することが可能な唯一の粉だった。現在では入手する術のない材料を粉砕して作り上げるもの。  かつてのジル――帝国滅亡の大災厄であり、死神と恐れられたジフィール――を封印した際に使われた粉だ。1000年前はともかく、製法も原料も失われた今では()()()だった。 「……誰が」  誰が持ち込んだ? 誰が保管していた? そして、何故このタイミングで使ったのか。  霊力と精霊を使役するために広げた翼が(あだ)となった。体内を巡る霊力の流れが阻害され、全身を切り裂く痛みが走る。  魔性として痛みに耐性があるジルであっても、その激痛は息苦しいほど強い。いや、普段痛みを感じない魔性だからこそ、痛みに弱いのかも知れない。     
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