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「あ、きみちゃん、おかえりー。」
「おかえりなさい。」
滞在しているホテルに戻ると、いち早く気付いたにこりとまどかに声をかけられた。二人はベッドに寝転んで仲良くケータイを覗き込んでいる。
「おかえり。きみちゃんもシャワー使う?」
お風呂場から出てきたくららが、髪をかきあげながら言う。
「うん、そうしようかな。」
海で散々泳いだし、塩水は早めに流した方がいいだろう。外も暑かったし。
そう思っての返事なのに、ニヤッとしたくららが、私の耳元に口を寄せてくる。
「蒼太くんと、ヤッたの?」
...本当に、くららはデリカシーのかけらもない。
「くららと一緒にしないで。一緒に泳いだだけだよ。」
「ほんとなのー?この身体を見て、彼は我慢できたのかー?」
「ちょ、やめっ。」
くららがおもむろに胸をおもいっきり揉んでくるから、慌てて逃れる。そもそも女子相手とはいえ、私はまどかみたいに胸を揉まれ慣れてるわけじゃないから、こういうのはやめてほしい。
「蒼太くんは、紳士だね。」
「ねぇ。たぶん、興味はあると思うけどね。段階って大事だし。」
「きみちゃんのこと、大事に思ってるんだね。」
「ねぇ。きみちゃん、愛されてるっ。」
まどかとにこりが、何か話している。私と蒼太くんの話みたいだけど、私は今日のこと、何も話していない。
「...そういえば、今日、二人ともどこ行ってたの?」
くららも何か感じたのか、不思議そうに二人に目を向ける。
「今日はね、まどかと海に行ったよー。」
にこりが楽しそうに言う。けど、なぜか広がる不安は消えない。
「その時に、少しきみちゃんたちを見かけたの。ナンパ男にきみちゃんが絡まれてて、助けに行こうとしたら、蒼太くんが、さっと助けに行ってたから。」
まどかが、いつも通りににこっと笑いながら言う。...そうか、その時の話か。
「え、まど」
「なにそれ!?詳しく聞かせて?」
くららがせがんできて、私は三人に、今日のことを洗いざらい話す羽目になった。
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