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太陽が、照りつける浜辺。
光を反射して、キラキラと輝く海。
そんな海岸の隅の方、人が、少ないところで、私は、ぼんやりと海を眺める。額から流れてくる汗を、右の拳で拭った。
キラキラと眩しいこの景色が、私は好き。日の光を浴びながら見るこの景色が、なによりも綺麗だと思う。
あんな、ビーチパラソルの下でのうのうと見るよりも、ずっと...
「きみちゃん、大丈夫?すっごい汗かいてるけど。」
「無理しないで、こっちおいでよ。」
「そーそー。白い肌が焼けて赤くなるわよ。」
私の、少し後ろ。レジャーシートを敷いて、大きすぎるビーチパラソルをセットした、完璧なくつろぎ空間でのうのうと横たわって声をかけてくるのは、今日一緒に海に来た幼馴染達。
「...うるさい。」
「失礼しちゃうわ。せっかく親切で言ってあげたのに。」
一番にむくれてくるのは、くらら。高い身長に切れ長の瞳の綺麗な顔と、スレンダーな身体を武器に、読モから雑誌専属のモデルに登りつめた女だ。男の噂が絶えないけど、長く続いたってのは、聞いたことがない。
それから、私の日焼けの心配をしてくれるくらいに、彼女は美容に気を遣っている。私の肌は死人みたいに白くて、日に焼けても赤くなるだけだから、余計気になるのかもしれない。
「きみちゃん、無理はよくないよ。にこり達と一緒にこっちでのんびりしようよ。」
あざとい上目遣いで言ってくるのは、大学生になってまで自分のことを名前呼びする、にこり。
それでも、そのあざとさが似合う大きなウルウルしているお目目に、気付いたらアヒルになってるお口、あからさまな幼児体型のお陰で、違和感はなく、普通に可愛い。
そんなにこりに、この暑いのにギュギュと抱きつかれているのは、まどか。にこりと、名前を交換した方がいいのでは、というほど、いつもにこにこと笑っている癒し系女子。なぜか一緒にいたくなる、口数は多くないけど、いつもしっかり話を聞いてくれる、という真似できない魅力を持った彼女は相当モテる。今まで色恋の話は聞いたことがなかったけど、今は高校の時の先生と付き合っているというのだから、驚きだ。
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