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次の日。 蒼太くんと待ち合わせをしたのは、とある海の家の前だった。わかりやすいんだけど、いかんせん人が多い。私は隅の方だけど、目にはつきそうな看板の前で彼に見つけてもらうことにした。 「キミ、一人?」 名前を呼ばれて...なんて、私は思わなかった。こんな軽率な響きで私の名前を呼ぶ男の人は知り合いにいない。 少しだけ視線をあげると、茶髪にでかいピアスを開けた男と、脱色したような色の髪の男がチャラそうな笑顔を浮かべて私を見ていた。 「いえ、待ち合わせです。」 意識してブスッとした顔で答えると、へぇーなんて言いながら肩に腕を回してくる茶髪。 「でも、来てないじゃん。俺たちと遊ぼうよ。」 「お姉さん、すごくスタイルいいね。」 脱色もなにか話しかけてきて、鬱陶しい。私はさっと身を翻して腕から逃れる。 「つれないなー。」 なんて言いながら、二人して距離を縮めようとしてくる。避けまくっていると、いつのまにか、背後は例の看板だけ。目の前には茶髪と脱色がニヤニヤして立ちはだかっている。横は手をつかれていて、逃れられない。 「そろそろ、諦めて俺たちと遊ぼうよ。」 「お姉さん、すっごい色白いよねー。」 なんて言いながら脱色が手を伸ばしてくる。反射的に目を瞑ってしまって、これじゃ思うがままじゃないか。...なんて思っている暇もなく 「ツレが何か?」 ずいっと、茶髪と脱色を押し退けて現れたのは、蒼太くん。私を庇うように前に出てくれたから、彼の顔は見えない。 「「あ...いえ。」」 何かぶつくさ言いながら、茶髪と脱色は去って行った。 「ごめんね、きみちゃん。大丈夫?」 振り向いた蒼太くんは、やっぱり綺麗な瞳を垂らして心配そうにこっちを見ていたから、私は安心して、ふわっと微笑んだ。
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