02.初戦は苦戦

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02.初戦は苦戦

 顔を上げたら、目の前を銃弾が飛んでいくって―――おかしくね?  引きつった顔で見回した風景は、どう柔らかく表現しても『戦場』。  それも激戦区のど真ん中らしい。 「おい、そこの!」  洋服の首筋を引っ張られて後ろに転がれば、ぐるりと一回転して着地した。勢いよく落ちたので、したたかに打ち付けた尻が痛い。  地面に穴を掘って塹壕のようにしてあるようだ。落ちた穴は60cmほどの深さで、左右に伸びていた。  U字溝みたいな形を思い浮かべると近い。 「いてっ……」 「痛くてよかったな、生きてる証拠だ」  叫びながら、隣の青年が銃の引き金を引く。  見たことがない見事な赤毛――燃えるような赤と対照的な薄青の瞳が印象的だった。なんというか、アニメの中でもないと見ない色彩だ……と思う。  銃声に耳を塞いで視線を向ければ、相手も不思議そうな顔でこちらを見つめ返した。じっと互いの瞳を覗き込むだけの時間を、爆音が引き裂く。  ダーン!!  音に遅れること1秒で衝撃波が地を走った。引っ張られて首を竦めたオレの上を風の圧力が抜けていく。  顔を引っ込めなければ、鼻から上が吹き飛んだかも知れない。  ぞっとした。 「整った顔が吹っ飛ぶぞ」     
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