03.約束は守られた

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 他にも異世界人がいるのか。それより、警戒してた相手に『異世界人です』って申告されて信じちゃうの? こちらの疑問を読み取ったらしく、苦笑いしながら説明された。 「この世界は他の世界から来る奴が時々いる」  ジト目になるのは許して欲しい。  この世界のカミサマとやらは会っていないが、そうか、そんなにあちこちから攫ってきてるのか。  前に貸した分を返せと言われたらしいから、他の世界にも同じように返して貰った可能性もある。いったい何人貸し借りしてるんだか。  しかも、連れてきたなら説明位してくれないと。  よく小説で勇者召還の儀式なんかして、その場で王族とかの庇護が受けられるじゃんか。  さらにいろいろ恩恵を与えられるし、いきなり殺されそうになったりはしないよな? 返した恩の割にオレの扱い酷くね?   戦場の真ん中に落として、挙句に銃口突きつけられて尋問……。  唸っていると、いきなり手を伸ばされた。考えるより早く身体が一歩後ろへ下がる。同時に、伸ばされた男の手首を掴んでいた。 「いい反射神経だ、向こうでも戦ってたのか?」  答えに詰まる。戦ってはいた、戦争ごっこで申し訳ないが……。  腕を掴まれた茶髪男は、日本人に似た黒い瞳をゆっくり瞬きした。  猫か? オレは…。     
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