3944人が本棚に入れています
本棚に追加
/1372ページ
無意識に肩のあたりを左手で撫でながら首を傾げた。
次のページを見ると、また違う項目が書かれている。どうやら属性の話はここでお仕舞いらしい。本のページを左手でめくってから元に戻した。
「わかったか?」
「全然」
ノアの問いかけに素直に首を横に振った。
まったくわからない。余計に謎は深まった気がするくらいだ。
もう一度文章を読み返してみて、今度は別の場所が気になった。
――牙って何。他の動物はだいたい想像が付く。オレの世界にはいなかったが、竜はあれだろ……西洋のドラゴンってやつ。だとしたら、牙は何を示しているのだろうか。
「ノア、『きば』って何」
「きば? ああ、これは『が』と読むんだ」
「が……?」
余計に意味がわからない。眉を顰めて文字をにらみつけても、何も浮かんでこないし当然ながら理解できなかった。
すっと本の上に影が差す。顔を上げると、ジャックが前から本を覗き込んでおり、その両側からサシャとライアンも額をつき合わせていた。
「ああ、牙は危険な奴が多い」
「奴らは気が荒いからな」
「まだ竜の方が話が通じる」
気は荒いが話を聞いてくれる竜と、話を聞かない牙。
最初のコメントを投稿しよう!