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再開
寝坊したっ!と美奈がガバッと起き上がると、ああ……仕事はもう辞めたんだった……と肩の荷を降ろした。
ふと隣のベッドを見ると、慎吾がいない。
あわててダイニングへ行ってみると、慎吾がコーヒーを飲みながら新聞を読んでいた。しかもその姿は久しぶりに見るスーツ姿だったのだ。
「慎吾……その格好……」
「うん。今日から就活することにした。また美奈をあんな目に遭わせたくないから」
「病気は大丈夫なの?」美奈が心配そうに尋ねる。
「目が冷めたよ。会社は一つだけじゃないもんな」
「慎吾……よかった……」
美奈が泣きながら慎吾に抱きつく。
反射的に寄せられた慎吾の体温が温かい。
「今から、朝食つくるから、ちょっと待っててね」
「久々の美奈の料理、楽しみだよ」
こうして、会社での地獄の日々はもう終わった。
そう、眠り夫が起きたから。
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