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計算通り
「じゃあ、僕は療養中なので、寝室に戻らせて頂きますね」
その言葉を聞いて、美奈は必死に“慎吾、行かないで!”と心の中で叫び続けた。
「はい。退職の手続きなどを行うだけですので、どうぞご自愛下さい」
久保の言葉を聞いて、慎吾は寝室に戻ってしまった。
「どういうつもりだ?」
久保が怒気を孕んだ声で美奈を問い詰める。
「あの……私……今日限りで辞めさせて頂きます……」
「そんなの許すと思ってんのか?」
「私の意思で辞められるはずです。そうじゃなかったら、然るべきところにお願いすることも考えています」
「美奈」……の声と同時に社長は美奈の肩を寄せた。
「やめてください!夫も別室にいるんですから!」
「それが狙いだったんだよね」久保はニヤっと笑った。
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