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「俺、鬱になったらしい」
突如帰ってきた夫の慎吾が、開口一番そう言い放った。
「え……?」
美奈はポカンと口を開けた。
「会社のパワハラが原因でさ。医者が言うには3ヶ月休職するようにって言われた」
確かに最近の慎吾は口数も少なく、明らかに疲弊していた。しかし、美奈にとっては、まさかテレビの中でしか聞いたことのない、鬱というものが理解出来なかった。
ただ、頑張れと応援する事は禁句だという事は流石に知っていた。
「そ、そっか。うん。慎吾疲れてたもんね。ゆっくり休んでね。ご飯どうする?」
「食欲ない、ごめん。寝るわ」
慎吾が寝室に入っていった後、美奈は必死に頭を回転させた。
収入面でもわずかに困難になるし、これから寝たきりになる慎吾とどう接していいのかわからなかったのだ。
だから決めた。
「私も働こう!」
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