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擦れ違い
早速、美奈は翌日ハローワークへ向かった。
結婚前は事務職に就いていて、慎吾ともそこで職場結婚したこともあったので、再び事務職を探し、面接を受け、無事に合格した。
そんな嬉しい報告を持って、慎吾の待つ自宅に帰った。帰りにスーパーによって慎吾の大好物である、すき焼きを作ろうと思ったのだ。
「ただいまー」
美奈が玄関を開けてそう言っても、返事はなかった。
「慎吾?」
寝室のドアを開けると、慎吾は目を開けたまま涙を流していた。
「慎吾!どうしたの?」
「お前、今日仕事探しに行ったんだろ?働けなくなった俺への嫌がらせか?俺が働けないからってすぐに復職するなんて……嫌味にしか聞こえない」
「そんな……私、そんなつもりで復職する訳じゃないの。少しでも慎吾の支えになりたいから、それだけだよ」
慎吾の返事はなかった。
背を向けられ、再び眠りにつくようだ。
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