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俺は見た。
黒い何かがこちらに来るのを。
「はぁ、はぁ、はぁ。」
必死に逃げる。
『待て。』
聞こえるはずがないのに聞こえる。
何故だ?
分からない。
逃げても逃げても奴は追いかけ来る。
やがて追いつかれた。
「うわっ!」
『お前を食らいたい。』
「は!?何言って!?そんなの嫌だよ!」
『嫌なのは分かってる。だがこちらも腹が減って死にそうなのだ。』
「死ねばいいさ。」
『何だと?』
「ひぃ。」
『死ぬわけにはいかない。まだやりたいことがあるのだ。俺が死んだらこの世が大変なことになる。』
「大変なこと?」
『あぁ。』
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